「なに流」作法  むらさき

Posted on 6月 7, 2008

His way of life, is it beautiful or not?
二流、三流の芸術家という方々が、とても難しくてあらせられる。
ここでニとか三という言葉を使うのには、ただ単に芸術性のレベルを段階状に分けているわけではない。
私がここで述べたい方々とは、
1. 作品がよく売れ
2. 時には専門家として招聘されることもあり
3. どこでも先生と呼ばれ大概もてはやされ
4. しかし「一流ではない芸術家」
である。
1から3はある種の実力を指している。にも関わらず4が重しになっているので『自分はそもそも芸術家などと名乗るようなアレではありませんで』と自認されている方も是非下記の部分にご注目いただきたい。

「一流」の芸術家は自己の確立に自信がある。
そうでない芸術家は不安がある。自己を確立するための攻撃をしたり、陰口を叩いたりする。
「一流」の芸術家は、己の利害や芸術性に関わりのないことは目に留める必要がない。広い視野で世界を見ている。たいしたことのない小物は眼中にないし相手にしている暇もとらない。小さい活動をしている人でも評価することができる。
そうでない芸術家は活動が小さくても小物でも目障りな人間に過剰反応する。ヨソの美術関係者のすることに横から口を挟んでみたり、手間と時間をかけて関わりのないことにクレームをつけてみたり、怒鳴り声をあげてみたりする。

大きな声を出すなんぞ。そんな労力を何のために割くのだろう?考えあってのことか、実は衝動ではありはしないか。誰のため社会のためだと誤摩化し、根底には錆び付いたプライドがありはしないか。

プライドは重要なものだ。あって有害ということはない。
ただし自分をただ支えるだけでは脆い。多角的に見ること、どんな相手とも人間として対等であることにおいて行動が縛られず自由であってこそ、強くて輝きがある。
自分をこう見たいから、こうあらねばならないからという焦燥。それはたとえばの話、「先生」と呼ばせるために一言口出ししたり、青二才にわざわざ謝罪させるため根回ししたり。目障りであればどんなに目下に見ている相手でも放っておくということができない、であったり。
立ち位置を確保するがためのプライドがこりかたまっている、そのことはおそらくコンプレックスというものの両面である。
そしてプライドとコンプレックスの上にいろいろ積み上げ過ぎて、今更土壌を変えられないという事態にもなっている。

プライドもコンプレックスも自分を立ち上がらせるために雑念を呼ぶ。生き抜くために。無自覚であるか、自覚的であるか。無自覚にその上で行動している限り「一流」にはなれない。住む世界が違う。数々の分岐点で、自分がよって立つことのできる狭い世界への道を選んでしまう。

青二才の不肖わたくし、芸術にも「流」があると学んだ。
まず始めに述べた通り「一流」とそれ以外。そして、さながらお作法のように地域やグループ・派閥ごとに「流」がある。その「流」において「先生」は上の方に鎮座しておられるらしい。青二才が「流」に倣わないと「先生」はご機嫌を損ねてしまわれる。ただし対面の口ぶり程度ではご機嫌は測れないことも多い。自分自身を売り物として必死に生き抜いてきた営業マンとしては実に一流なのだから。
わたくしも芸術活動運営サイドの一人として、いくらかの「流」とお付き合いをさせていただいている。諸先生方の教えを頂戴し、ご親切には心から感謝を申し上げ、精進している。ただしわたくしに関する苦情はわたくし自身ではなく上司に来る。所謂、会社組織の中で部下の処分について責任者である上司に苦情がいくのとはまた違う意味であるようで、ややこしく。
その苦情には多なり少なり『私を立てろ』『目障りだ』という臭いがする。作品が引っ張りだこであるだとかの実績は実績として、臭い人間を眺める思いは青二才ながら冷ややかだ。

わたくしは、お作法を学ぶことに努力を惜しまない。わたくしもこの世界に生きる決意であるから。しかしどのような価値観に身を沿わせて日々行動するのか全くの無自覚でいては、どれだけ成果をあげても「一流」とはおよそ縁がないまま一生を終わるだろう。
その意味するところは、自分が取り扱っている作品や人や感情や社会の、本当の価値を理解できない人間に成るということだ。感動する心を喪うことだ。

これは、おおいに皮肉の記事である。と同時に、挫けたり立ち直ったり笑顔を作って見せたり口上を述べたりする内に、徐々に強いプライドが形成されつつある自分自身への厳しい戒めである。

Filed Under 考える芸術 | Leave a Comment

Author: むらさき
Profile:若造ギャラリストです。
Data: 2008 年 6 月 7 日 at 12:04 AM

Leave a Comment

If you would like to make a comment, please fill out the form below.

Name (必須)

Email (必須)

ウェブサイト

コメント

Comments are closed.

DRAGON ART CREATOR’S REVIEW • Powered by WP • Management by Kouhei Muramatsu • Logo&Icon Kintaro Takahashi