【リ・名画 ~re-meiga~】Lot 3 フィンセント・ファン・ゴッホ作《ひまわり》 とに~
Posted on 6月 14, 2008
今日の名画は、ゴッホの《ひまわり》。
誰もが一度は目にしたことがある超有名絵画。
それだけに、おそらく多くの方が、じっくりとこの絵を観たことがないのではないでしょうか。
もし、見る機会があっても、
「あ、ゴッホの《ひまわり》だ」
「そうだね。うん」
と、まぁ、これくらいの会話しかしないのではないかと。
いやいや、さすがにもう少しするかもしれませんね。
「あ、ゴッホの《ひまわり》だ」
「そう言えば、日本にある《ひまわり》は、58億円で落札されたらしいよ」
「え~、ウソ~!」
「本当」
「じゃあ、目に焼き付けておかなくちゃね」
「そうだね。うん」
この場合、ある意味で、じっくりとは観るのでしょう。
しかししかし。
それでは、いけません!
もっとまっさらな気持ちになって、改めて名画を観てみようではないかというのが、この企画。
さぁ、皆さん、準備は出来ましたでしょうか?
この絵を改めて観て、まず僕が気になったのは、
“ひまわり以外は、意外と雑に描かれている”点。
花瓶の輪郭線が、何だかひょろっこくて貧相な感じですし、
壁とテーブル(もしかしたら、床に直置き?)の境目も、まさかの青色のひょろひょろな線。
ひまわりの部分を隠して観たなら、正直、誰の絵か分からないほど。
何だか、ゴッホっぽくありません。
さらに花瓶に注目すれば、こんなところにゴッホのサインが。
意外な遊び心。
これまた、ゴッホっぽくありません。
さて、そろそろ肝心のひまわりの部分を観ていきましょう。
…と、その前に。
一つ、皆様にご質問。
「あなたは、“ひまわり”と聞いて、何を想像しますか?」
夏。夏休み。
太陽。炎天下。
ひまわり畑。一面のひまわり。
ひまわりのような女性。
ひまわり娘。劇団ひまわり
…と、まぁ、ざっとこんな感じなのではないでしょうか(最後の方には、微妙なものも混じりましたが)。
はい。
ではでは、これを踏まえた上で、ゴッホの《ひまわり》をもう一度観てみましょう。
ゴッホの《ひまわり》は、おそらく多くの方がイメージした“ひまわり”とは、異なるものなのではないでしょうか?!
まっさらな気持ちで観れば観るほど、
「本当にこれ“ひまわり”か?」という不安な気持ちになってきます。
ひまわりというよりは、何だかタワシのようなモノもありますし…
今まではこの絵に慣れすぎていて、疑問に思ったこともなかったですが、
“そもそも、花瓶に15本のひまわりを活けるって、どうなのよ”と。
さすがに花のことに疎い僕でも、花瓶にひまわりオンリーで15本も活けるという無茶はいたしません。
しかし、このひまわり(っぽい花)。
じ~っと観ていると、今にも動き出しそうな気がしませんか。
それも、“そよそよ”とか“ちらちら”とか動くのではなく、
「プギャァーーーー!!」とか、
「ピギシューーーー!!」とか、
奇声をあげて、その辺を飛んでいる蝿なんかを捕まえそうです。
ん?
そんなひまわりの1体(ちょうど真ん中にいるヤツ)が、こっちを見ていますね…。
おぉ、怖いです。
こっちを見ないでくれよ。
ちなみに、ひまわりの花言葉は、
「あなただけを見つめている」だそうで。
ひー、だから、こっちを見ないでくれって。
今日の教訓。
「あなたはひまわりのような女性ですね」は、褒め言葉ですが、
「あなたはゴッホの《ひまわり》のような女性ですね」は、褒め言葉にならない。
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【リ・名画 ~re-meiga~】Lot 2 葛飾北斎作《神奈川沖波裏》 とに~
Posted on 4月 17, 2008
僕は今でも覚えています。
“永●園のお茶漬け海苔”の袋から、この《神奈川沖浪裏》が出てきた時のことを。
「やった~!『波』の絵だ!!」
当時の僕は《神奈川沖浪裏》というタイトルは知りませんでしたが、この絵が有名な一枚であることだけは、なぜだか知っていました。
だから、僕はこのカードが出てきて、大喜びしたのです。
それは、プロ野球チップスを開けたら、西武のデストラーデのカードが出てきたのと同じくらいの嬉しさでした。
Jリーグチップスで言うならば、ラモス瑠衣のカードが出てきたくらいの嬉しさです。
さらに、ビックリマンチョコで言うならば、ヘッドロココのシールが…
さすがに、もういいですね。
まぁ、とにもかくにも、それくらい嬉しかったということです。
そんなわけで、子供の頃からの長い付き合いである《神奈川沖浪裏》。
もうすっかり見慣れてしまった感はありますが、例によって、もう一度、まっさらな気持ちでじっくりと見てみようではないですか。
さてさて、どうしたって、真っ先に目が行ってしまうのは、やはり“波”。
この迫力は、本当に尋常ではありません。
しかし、この波。
よくよく見ていると、波というよりは、怪物のように見えてきました。
富士山をも飲み込もうかとするほどの巨大さで。
飛沫の部分が、どうにも爪を立てた手のようで。
ゴジラやガメラの新たな敵となり得るほどの波です。
「いやぁ、やっぱり、自然って凄いなぁ(^‐^)」と、お決まりの感想を、改めて感じさせられたところで、今回はお開き…としたかったのですが、
「?!」
波ばかりに気を取られて、肝心な部分を見落としていました!
とりあえず、「いやぁ、やっぱり、自然って凄いなぁ(^‐^)」という前言は撤回です。
そんな悠長な感想を抱いている場合ではありませんでした。
今まさに、この怪物のような波に、舟ごと飲み込まれようとしている人々がいるではありませんか!
よく日テレでやっている『衝撃映像!○○99連発!』みたいな特番でも、ここまで悲惨な映像はお目にかかれません。
そんな絶体絶命の危機に彼らが見舞われているというのに。
「凄い波だ!」「あんなところに富士山♪」などと、よく言えたものです。
大反省です。
とにかく、彼らの無事を祈りましょう。
しかし、時は江戸時代、たまたま通りがかった大型フェリーに救助されるだなんて展開は、まず期待できません。
ヘリコプターが助けに来るということもなければ、海猿が助けに来ることもないのです。
そう。見てわかるように、彼らが出来ることと言えば、皆で一か所に固まって、頭を下げて重心を低くすることだけ。
…って、それ、何の意味があるのでしょう?
あんまり意味ないと思うけどなぁ。
いや、絶対ないっ!
というか、そもそも、何でまたこの人たちは、こんな軽装備で、大荒れの海に、しかも沖まで船で出る必要があったのでしょうか。
そこで、一つ気になるのが、皆がお揃いの服を着ているとこと。
はっ!
もしや、島流しにあった囚人たちなのではないでしょうか。
ということは、この船は、今で言うところの囚人護送車。
じゃあ、波に襲われるのは、いわば天罰のようなもの。
だからこそ、この波はこんなにも怪物のように怒っているのかもしれません。
う~ん。何だか心配して、損しました。
まぁ、何にせよ。
今後、“永●園のお茶漬け海苔”の袋から、この絵が出てきたとしても…、
素直に喜べなくなったことだけは確実です。
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【リ・名画 ~re-meiga~】Lot 1 レオナルド・ダ・ヴィンチ作《モナ・リザ》 とに~
Posted on 3月 24, 2008
レオナルド・ダ・ヴィンチ作《モナ・リザ》。
言わずと知れた名画です。
おそらく《モナ・リザ》ほど、多くの人々に知られた絵画はないでしょう。美術に全く興味がないという人でさえ、《モナ・リザ》の絵は必ずどこかで目にしたことがあるはずです。
また、《モナ・リザ》ほど、デュシャンやダリ、ウォーホルなど様々な芸術家たちによって、リメイクされた絵画もありません。
ところがです。
《モナ・リザ》ほど、人々にちゃんと鑑賞されない絵画もありません。
たくさん見る機会があるだけに、逆に、あえてじっくり観ることがないのではないでしょうか。
えっ?そんなことはない?
いえいえ、それが、そんなことあるのです。
2005年の秋。テレビで「クイズ ミリオネア」を見ていたら、こんな問題が出題されました。
名画《モナ・リザ》の背景に描かれているものは、次のどれ?
A.舟 B.橋 C.鳥 D.滝
これ、なんと1000万円の問題。
“《モナ・リザ》なんて、何度も見たことあるわ(笑)!”とタカを括っていたのですが、改めて問われると、これが難しい。しかも、小説『ダビンチ・コード』がベストセラーになって、書店にはダビンチ関連本コーナーが必ずあった頃の話だったというのに。
「うーん、舟が浮かんでいたような…」
さて、皆様は正解がおわかりになりましたでしょうか?
正解は、Bの橋。僕は、不正解。舟が浮かんでいたような気がしたのですが…気がしただけでした。
と、まぁ、何を言いたかったのかと言いますと、人は名画と言われている絵ほど、きちんと見ないものだということ。
何となく見ただけでも、ちゃんと見た気になってしまうのですね。
そこでです。もう一度、名画を改めて、ちゃんと見てみようというのがこの企画。
まっさらな気持ちで。初対面のつもりで。ダメ出しするくらいのつもりで見てみましょう。
すると、見えてくるはずです。
名画の新たな一面が。
その生まれ変わった姿こそが、『リ・名画』なのです!
かなり前置きが長~くなりましたが、前置きが長くなるのは初回の常。
次回からは、もっとサクサク始まりますので、ご容赦下さいませ。
さてさて、そんなことを語りながらも、僕はすでに数分にもわたって《モナ・リザ》を見つめております。
長いこと、じーっと《モナ・リザ》と見つめ合っていますと、ジワジワと、彼女の姿が怖くなってきました…。
“もう、こっち見ないで!”という感じです。
だって、眉毛がないんですよ。
眉なしで、人前に出られるだなんて、レディースくらいなものです。はい。
しかも、この笑い方!
“モナリザ・スマイル”と言えば、聞こえはいいですが、僕には何かを企んでいるような笑いにしか見えません。
夜中に見ているので、余計に怖い。お昼に見れば良かったです。
それでも、勇気を振り絞って《モナ・リザ》を見つめ続けていると、ついには、僕の頭の中で勝手なイメージが再生される始末。
ある日、街を歩いていると、背後に感じる気配。
振り向くと、電柱の陰には微笑を浮かべたモナ・リザが…。
うゎ~、怖いですねぇ…。
また、ある時には、数回にわたって無言電話が。
「いい加減にしろ!誰だ!!」と声を荒げれば、「フフフフフフ…」という低音の笑い声。
「もう止めてくれ(涙)!!」という僕の声を、受話器越しに聞いて一人微笑を浮かべるモナ・リザ。
怖い!怖すぎるよ…!
またまた、ある時には。
前日から、振り続ける雨。
ふと悪寒がして、カーテンを開け、2階の窓から階下を見下ろすと、そこには傘もささず、こちらを見つめ続けているモナ・リザが…。
怖っ!モナ・リザさん、もう許して下さい!!
もうこれ以上、絵を見続けるのは止めにします。精神的によろしくないです。
今までの人がどうだったのかは知りませんが、僕の中で、今、はっきりとモナ・リザは恐怖の対象へとなりました。
その怖さは、もはや映画「リング」の貞子に匹敵するほど。
これから、どうこの絵を見てよいものやら。
そうそう、かつて日本人を恐怖のどん底に陥れた貞子と言えばですよ。
今や、ネットの世界では“貞子たん”という萌えキャラになって人気が上昇中なのだとか。
初めて、“貞子たん”を見た時、人間はこうやって恐怖を克服するのだなぁと、僕は軽く感動すら覚えました。
ということは、モナ・リザも同じようにキャラにしてしまえば、怖くなくなるわけで…
あ!そこで、気がつきました。
デュシャンやダリ、ウォーホルが、《モナ・リザ》をリメイクした本当の理由って…。
もしや?まさか!いや、そんな…。
そんなことを、一晩考えていたら、すっかり日が昇ってきてしまいました。
お日さまが笑ってる。
モナ・リザも笑ってる。
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